皆様お疲れ様です。
現役看護師のにっと~です。
本日は「高齢者の脱水・熱中症対策」についてお話させていただければと思います。
僕自身が訪問看護で勤務しており、現場で多くのご利用者様と関わってきて、数多くの脱水や熱中症の方を見てきました。
実際施設や在宅で住まれている方などかなりの数の方が、脱水・熱中症にて救急搬送されている現状です。
それくらい誰にでも起こる可能性はありますし、最悪の場合には命に係わる重要なことのため、しっかり見てもらえたらなと思います。
ぜひ最後まで見ていってくださいね~

なぜ高齢者は脱水、熱中症をおこしやすいのか
まずは原因についてお話させていただきます。
高齢者の方々は根本的に脱水、熱中症になりやすいといわれています。
高齢者の方々が脱水、熱中症になりやすい原因として、
- 口渇(のどの渇き)を感じにくい
加齢によって、のどの渇きがわかりにくくなり、必要な水分を自発的に摂取することが困難となります。 - 腎臓の機能低下
尿を濃縮する機能が低下し、体内に水分を留めて起きにくくなります。
ちなみにですが、高齢者の方でよくお見受けするのは「おしっこに行きたくないから水分をとらない」です。 - 筋肉量の低下
筋肉には水分を蓄える役割もありますが、加齢で筋肉量が低下することで、体内の水分保持量も減ります。 - 服薬の影響
利尿剤(尿を出しやすくする)、下剤(便を柔らかくする等)などの薬を服薬されていると、さらに体外へ水分が出やすくなります。
などがいわれています。
脱水や熱中症には生じる際に、サインを示している場合があります。
ご家族様が気づきやすいサインとして、
- 皮膚や口の中が乾いている
- 尿の回数や量が減っている、尿が濃い黄色をしている
- めまい、ふらつき、立ち眩み
- 意識がぼんやりしている、反応が鈍い
- 微熱、頭痛、吐き気
等が上がります。
これらの症状が出ている場合には、早めに水分や電解質の補給が必要です。
すでに反応がない、意識がないなどの場合には、早急な医療機関への受診が必要と思います。
僕自身が経験した事例として、
去年の9月頃、ある施設に入居中の利用者様で全身の浮腫、脈の不整、尿量の低下が生じ、往診医に相談の上、利尿剤開始となりました。
浮腫は徐々に改善していましたが、のどはもともと渇きにくい方で、水分量も少なかったため、適宜声掛けを行っていました。
認知症はなく、物忘れも年相応のため、声掛けのみを対応していましたが、とある夜間21時ごろに呂律困難、右顔面の動きにくさを訴えられ、スタッフを呼ばれました。
脳梗塞の可能性が高いと判断し、すぐに往診医に連絡、救急搬送の運びとなりました。
水分摂取が乏しく、脱水により、血管内はドロドロな状態となっており、脳梗塞を発症したことが考えられます。
結果命に別状はなく、すぐに治療にうつれたため、麻痺などの後遺症は残らずに施設へ戻ってくることができました。
このような事例はいたるところで起こっており、脱水や熱中症対策はいかに重要かということかを繰り返し思い知らされました。
家庭でできる予防の工夫
1.こまめな水分補給
高齢者の方は上記の特性のように、「のどの渇きがわかりにくい」、「体内の水分を留めにくい」など脱水、熱中症を生じやすいですが、水分を一気に飲むものしんどいですし、次は誤嚥やムセなどを生じる可能性もあります。
そのため、一度にたくさんではなく1回100mlなどこまめに水分を取ることがおすすめです。
のどが渇いたと感じる前に飲む習慣をつけるため、「1時間たびにアラームを鳴らし、なったら水分を取る」等もおすすめです。
摂取する水分としては、水や麦茶、経口補水液などがおすすめです。
2.食事からの水分補給
水分だけでは摂取が難しいという方には、スイカやみかん、キュウリ、ゼリー等、水分を多く含む食材の摂取するもの脱水予防として有用です。
また近年では、経口補水液のゼリーバージョンも出てきており、意外とおいしく、飲みやすいと好評でした。
3.室内環境の調整
脱水や熱中症などは、汗などで体外に水分が抜けていくことで生じるため、室温を適温にすることで予防できます。
そのため、エアコンや扇風機で室温を28℃以下に保つことが有用です。
また、扇風機だけの場合は、「窓を開けて風を通す」ことが大事です。
4.外出時の注意
著明な体温上昇を予防するため、帽子や日傘を使用し、直射日光は避けるようにしてください。
また炎天下での長時間の外出はできる限り避けたうえで、30分~1時間程度には休憩と水分補給を挟むようにするといいかなと思います。
それでも外での仕事やどうしても外で用事があるなどのこともあると思います。
脱水、熱中症予防の対策キットを1つどこかにおいておいたり、自身の深部体温を常に測定できるデバイスをつけたりで「予防の意識をしていく」ことが重要です。
5.医療機関への受診
こんな時には医療機関への受診も考慮してください。
- 水分を受け付けられない、吐き気がする、呂律が回らない、麻痺がある
- 意識がもうろうとしている
- 体温が高く、下がらない
- 尿がほとんどでない
上記の場合などは重度の脱水や熱中症のサインといえます。
すぐに受診、もしくは状況によっては救急搬送も検討してください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は僕が経験した事例も少し含めて、脱水や熱中症の原因、対策、予防などについてお話させていただきました。
高齢者の脱水や熱中症はちょっとした工夫で防げるケースが多くあります。
大切なのは「予防の意識」と「本人が自覚できないリスクを周りの人が気づき、予防的にかかわる」ことです。
「お茶のめのめって、口うるさいなー」と思われているくらいがちょうどいいのかもしれません。
是非予防的に過ごしていただき、楽しい夏を過ごしてくださいね。
ではお疲れ様でした~
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