皆様お疲れ様です。
現役看護師のにっと~です。
本日は褥瘡(床ずれ)予防とケアの基本についてお話させていただければと思います。
在宅での介護や施設での介護などでよく耳にするワードとして「褥瘡(床ずれ)」が上がります。
一度できてしまうと完治するまでに時間もかかりますし、ご本人様にも強い痛みや不快感を与えることにつながります。
また、褥瘡が悪化することで生命にも影響を与える感染症への罹患などにもつながりかねず、それくらい褥瘡が怖いものといえます。
しかし、褥瘡は日常のちょっとした工夫で予防や改善への後押しへつなげることは可能です。
今回は褥瘡の原因や予防方法、できてしまった時の対処方法について、できる限りわかりやすくお伝えできればと思います。
是非最後まで見ていってくださいね~

褥瘡(床ずれ)とは?
褥瘡とは、
長時間、同じ姿勢でいるころで床に設置している部分の血流が悪くなり、皮膚や組織が傷ついてしまう状態のことを指します。
すごく簡単に言うと、長時間正座をしていると足がしびれませんか?
それは下肢の循環、血流が悪くなることで生じていますが、それのすごくひどいバージョンみたいなものです。
循環が悪くなることで、最悪の場合その圧迫している部位が「壊死」する可能性もあります。
高齢者や寝たきりの人、栄養状態が低下している人などに起こりやすいです。
褥瘡が出来やすい部位として、
- 仙骨(尾てい骨の部分 お尻の骨)
- 踵(かかと)
- 肩甲骨
- 耳、耳の後ろ
などがあがりますが、その人の寝ているときや座っているときの姿勢によって、褥瘡のできやすい部位は異なります。
ちなみにですが、尖った骨の部分(仙骨やくるぶし、人によっての尖った骨の部分等)も褥瘡が発生しやすいです。
褥瘡の原因として、
- 長時間の皮膚圧迫(同じ姿勢が続く)
- 摩擦やずれ(体を引きづって移動させるなど)
- 湿気(汗や尿、便の影響など)
- 栄養不足や全身状態の悪化
等があがります。
褥瘡予防の基本
ここから実際の褥瘡予防の基本についてお話していきます。
- 体位交換:2時間おきに姿勢をかえる
同一姿勢で皮膚の圧迫、循環障害が原因のため、除圧することが大事です。
僕自身看護学生の時に、学校の先生より「一回床で1時間くらい体動かさずに寝てみ」といわれ、実際にしてみたことがありますが、お尻や後頭部、踵などが結構痛かったことを覚えています。
布団やマットレスなどなら多少は緩和されるかもしれませんが、それでも同じ姿勢でずっといることはしんどいものです。
もし可能なら一度自身でも経験してみることをおすすめします。
自分で経験すると、きっと「してあげないとあの人もしんどいやろうな」と感じることも多いと思います。 - クッションやエアマットの活用
同一姿勢での圧迫、循環障害を避けるためにマットレスでの耐圧分散を図ることも有用です。
現在いいマットレスも出ていますし、「自動体交マットレス」などもあります。
機械が自動で耐圧を分散してくれるように、マットレスへ空気が入り、寝ている方の姿勢を変えてくれるものです。
しかも上記のマットレスなどは、要介護度によっては介護保険のサービスでレンタルすることも可能です。
自費だとそれなりのお値段がしますが、介護保険で可能なら、原則1割負担でレンタルが可能です。
ご希望がある方は一度担当のケアマネジャーにご相談してみてください。
介護保険を利用されない方などは
上記のようなマットレスで体圧を分散させるのがおすすめです。
また、
上記のようなクッションを用いて負担を分散させるのもおすすめです。
- 皮膚の清潔を保つ
皮膚の清潔を保つことも重要な要素といえます。
皮膚には自助作用というものがあります。
簡単に言えば、正常な皮膚は弱酸性で保たれており、清潔を保持しようとしています。
ただ、尿や便で汚染されるとその弱酸性が保たれにくくなり、それによって褥瘡の発生、悪化リスクへとつながります。
洗浄のしすぎもいい常在菌を流す可能性もありますが、汚染部位に関しては適宜洗浄することが必要といえます。 - バランスのいい食事(タンパク質、水分、亜鉛等)
栄養状態が低下することでも褥瘡発生に影響します。
皮膚は常に新しい細胞へ変わっていっていますが、栄養状態が悪かったり、脱水で皮膚が弱くなることで褥瘡が発生しやすくなります。
新しい細胞を作るのに必要なのが「タンパク質」や「水分」等です。
また、「亜鉛」はタンパク質の生成を手助けする作用があるため、褥瘡予防へつながります。
亜鉛はお肉や豆類などに含まれているため、予防のためには摂取するのがいいかなと思います。
ちなみにですが、水分を取りすぎで浮腫が発生すると、その部分は皮膚が弱くなるため、褥瘡や感染症発生のリスクは上がります。
とりまくったらいいというわけではなく、適度な補水が必要となります。
できてしまった場合の対処法として、
まずは、早期発見が重要といえます。
上記の褥瘡好発部位に赤みはないか、傷はできていないか、皮膚に変化はないか、随時チェックをしてみてください。
ただ、お尻等は確認しずらいものと思いますので、おむつやトイレへ連れて行った際などに介助と同時に確認をしてください。
自尊心を守ることも重要なケアの一つのため、注意してください。
褥瘡ができているとなった場合には、主治医や訪問看護のスタッフに相談をしてみて下さい。
様々な事例を見てきているはずなので、きっといい案や対応をしてくれるはずです。
もし看護師が入っていない方などなら、一度ケアマネジャーに相談するのも一つです。
状況によっては訪問看護を入れる方がご本人様、ご家族様にも有用な場合はあると思います。
その状況や個性に合わせた訪問看護事業所の選定もケアマネジャーが対応してくれると思いますので、一度ご相談くださいね。
ケアするうえでの注意点として、薬局等での市販薬では逆に褥瘡が悪化する可能性もあります。
まずは主治医の指示を守って対応いただければと思います。
それでも急を要する場合などもあるかもしれません。
そのような場合は「ワセリン」をおすすめします。
ワセリンは潤滑剤のようなもので、皮膚の保湿や保護に有用です。
かつ副作用のようなものはすごく出にくいとされていますので、赤みなどが出た部位に塗布することは有効と思います。
看護の現場でもワセリンはかなり使用します。
ただ、あくまでも主治医の見解が重要なため、医師に指示を仰いだうえで対応される方が良いと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
褥瘡へのケア、予防方法などをお話させていただきました。
褥瘡は「できてから治す」よりも、「予防する」ことが何よりも重要です。
まずは適宜の体位交換や清潔の保持、栄養管理が重要です。
ただ、どれだけ手厚く介護をしていても場合によっては褥瘡ができてしまうこともあります。
そのような場合には適宜医師や訪問看護師、ケアマネジャーなどの専門家に相談してもらうことが改善していくうえでの重要なことかなと思います。
介護する人が一人で抱え込まず、専門家と一緒に取り組むことで、ご本人様の生活の質を守ることにもつながります。
ぜひ我々専門家に相談してみてくださいね。
皆様のためになれたら幸いです。
ではお疲れ様でした~
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