はじめに
皆様お疲れ様です。
現役看護師のにっと~です。
訪問看護の現場では、「本人に病名や余命を伝えるかどうか」という場面に、少なからず直面します。
僕がこれまで関わった中にも、ご家族のみが病状を知っていて、
ご本人には伝えない、あるいは「風邪が長引いているだけ」「もう少し通院すれば良くなるよ」と伝えていたケースがありました。
その方は最期まで穏やかに過ごされましたが、同時に、
「本当は本人が望む生き方を選べたのではないか」
と感じたのも事実です。
今回はその経験をもとに、本人への病状説明をしないという選択の難しさと、その背景にある家族・看護師の葛藤について考えてみたいと思います。
その他訪問看護での事例として、
事例紹介!腎盂癌末期の看取り事例 ~H氏 ご家族様と最期まで最良の選択を考え続けた2か月~
看護師になってよかったと感じること~肺がん末期の方と過ごした6ヶ月~
看護師になってよかったと感じること~肝臓がん末期の方と過ごした6ヶ月~
などもよかったらみてください。

本人に伝えないという「家族のやさしさ」
家族が「本人には告知しないでほしい」と望む背景には、
多くの場合、「本人を守りたい気持ち」があります。
- ショックを受けてしまうのではないか
- 残された時間を穏やかに過ごしてほしい
- どうせ治らないなら知らない方が幸せだ
そのどれもが、愛情から生まれる自然な思いです。
実際、病名を知らないことで穏やかに過ごせる方もいます。
しかしその一方で、「本人が自分の人生をどう終えるか選ぶ権利」も、同じくらい大切だと個人的には考えています。
ご本人が感じている“違和感”
長く訪問していると、本人が病名を知らされていないケースでも、
どこかで「気づいている」ことが多いと感じます。
実際に訪問看護の現場で関わっていたご利用者様はこう話していました。
「なんとなくそうなんじゃないかって思ってる。でも家族が言わないから、私も聞かない。」
このように、「知りたいけど、家族を思って聞けない」という気持ちを抱えたまま過ごしている方も少なくありません。
病気の真実そのものよりも、
「家族が本音で話してくれない」ことの方が、
孤独や不安を強めてしまう場合もあるのではないかなと感じました。
看護師として感じたジレンマ
在宅のご利用者様で関わる看護師として、
「どこまで話していいのか」
「ご家族様の意向を優先すべきか」
と悩む場面は本当に多いです。
医療者としては、「本人の知る権利」を尊重する気持ちがあります。
しかし、家族の願いを無視してまで伝えることもできません。
僕が関わったケースでは、
ご本人様より「もうこの状態は治らんのかな」と呟かれた時、僕はなにも言えませんでした。
またその際にそばにいたご家族様がすぐに話題を変えたことがありました。
その瞬間の、空気の重さと沈黙。
看護師として何も言えず、ただその場をいることしかできませんでした。
「正解がない」という言葉が、あれほど重く感じたことはありません。
ご本人の「望み」が見えなくなることも
病名を知らされていないと、
本人の中で「これからどう生きたいか」「何をしておきたいか」といった希望を言葉にしづらくなります。
たとえば、
- 昔の友人や親せき等、会いたい人に会いたい
- 家で過ごしたい
- 最期に好きな景色や思い出の場所を見たい
そうした「願い」が、伝えられないまま時間が過ぎてしまうことがあります。
ご家族様が「知らない方が幸せ」と思っていても、
結果的に、ご本人様が本当にしたかったことを選べないまま旅立つことも少なくありません。
告知の「正解」はひとつじゃない
病名や予後の伝え方に、絶対的な正解はありません。
- 伝えたことで前向きに過ごせる方
- 知らずに穏やかに過ごせる方
- 時間をかけて少しずつ受け入れる方
どの形も「その人と家族にとっての最善」であるなら、尊重されるべきです。
大切なのは、「伝えるかどうか」ではなく、
「どう寄り添うか」「どう支えるか」という視点だと思います。
看護師としてできること
僕たち看護師として、できることは下記の4つだと考えています。
- ご家族様の思いを受け止める
まずは「伝えない」という選択の背景を理解することが大事と思います。
背景がみえてくると、実は病状を伝える方がニーズに沿っている可能性があります。
ご家族様の気持ちを受け止めた上で繰り返し意向を確認していく。
さらに「本人の気持ちも大切にしていきたいですね」と少しずつ対話を重ねていく。
などの対応をしていきます。 - ご本人様の「言葉にならないサイン」を拾う
「最近どう感じてますか?」など、
ご本人様が「気づきを共有できる場」を作ることも重要です。 - チームで支える
主治医・ケアマネジャー・訪問看護・ヘルパーなど、
情報共有を行い、「伝え方」や「タイミング」を多職種で検討することも大事です。
皆で一丸となって対応していきます。 - 看護師自身の感情をケアする
現場では無力感を感じることも多いです。
「何もしてあげられなかった。できなかった」と抱え込まず、
他のスタッフや多職種とも共有することも大切です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は「【看護師の視点】本人に病名を伝えないという選択|がん末期の在宅ケアで感じたこと」というテーマでお話させていただきました。
ご本人に病状を伝えないという選択には、
多くの「葛藤」と「愛情」が隠れています。
ただ、看護師として感じるのは、
「伝える・伝えない」よりも、
「その人が安心して生きられる時間を支える」こと、「真実」よりも「安心」を届けるために何ができるかを考えることが何より大切だということです。
病名を知らなくても、
「自分らしく生きたい」と思える時間をつくる。
それを支えるのが、僕たち訪問看護師の役割だと思います。
訪問看護は学びが多く、数々の経験、やりがいをくれます。
今回の記事で少しでも興味を持ったという方は、
訪問看護への転職を考えられている方必見!転職時に気をつけるべきポイントについて解説!
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などもありますので、興味があれば是非そちらも見てください。
また転職サイトとしておすすめが、
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では本日もありがとうございました。
お疲れ様でした~
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